月光あそび  _ 生活 _ 説明 _ 置手紙 _



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うやむや
薄手のカーディガンを羽織り、街灯もまばらな路地裏を歩く。深夜一時の空は鉄紺で、星が少し見えるばかり。潮の匂いのする路地裏には、クリーニング屋、内科医院、スナックが何軒か。クリーニング屋は硝子の引き戸で、中途半端に閉められた白いカーテンの隙間からは、土間が覗いている。路地を抜けると目の前は海だ、海沿いには観光ホテルや土産物屋があるものの、深夜はひっそりとしている。道を渡れば整備された海の公園があり、広々として白く平坦でそこだけ変に明るい。背の高い取り繕ったような南国風の木がわざとらしくて笑ってしまう。
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2014年05月29日 木曜日



バラ
商店街の一本下の通りにあるクリーニング屋の花壇に、満開を過ぎ花びらを落としはじめた白い薔薇がある。必死に身を寄せ合い震えて泣いているその姿に、おもわず絶句した。中心に居る薔薇は、天を仰いで己の運命を祈っており、とても神聖なものに見えた。足元に広がる白い涙の湖に後ずさりする。これは、踏んではいけないものだ。なぜ薄暗い裏通りにこんなものが宿ったのだろう。はら、はら、と音のする落涙に押され、いそいでその場を離れた。

2014年05月20日 火曜日



夕飯時、同じ区画にある寿司屋の女将さんが訪ねてきた。助六とちらし寿司が余ったから食べて頂戴とのこと。これからお隣さんたちにも渡しに行くという。狭く古いこの地域では、たまにこういうことがある。しかし、きょうの我が家は大量のシフォンケーキを消化しなくてはならない。店に出すための試作品がある時は、食べる手伝いをするのが暗黙の了解だ。シフォンケーキを頬張りながら、お寿司を窓の欄干に出す。外で保管できるのも今の季節までかしらと思い、外を眺めた。裏通りの飲み屋の看板が色とりどりに灯り、演歌もかすかに聞こえる。そのうちに馬鹿みたいな音量のカラオケも聞こえてくるだろう。口の中ではシフォンケーキのしゅわしゅわという音がうるさい。

2014年05月20日 火曜日



臥せながら泳ぐ
遠くを走る電車の音が聞こえるのは、夜がますます深くしんとしているからだ。居間の畳にごろりとなり、南向きの窓を逆さまに見る。手すりの上に、ぽかりと浮かぶ寝待月。昼間との気温差に身体が混乱しているのか、浮遊感をともなう眩暈が治まらない。仰向けに横たえている身体が後ろに倒れそうになるので、無意識に手のひらで畳をおさえ、少しでも抗おうとする。月明かりに照らされた裏の家の瓦が、凪の水面のようにちらちらと揺れ、まるでここは湖底の汚泥のようだ。美しい月を舐めるように水ごと呑み込む真似をして、奥に詰まった憂鬱にうんざりとする。



2014年05月17日 土曜日



湿気
薄膜をはったような空が、人を疲れさせる風を吹かせている。太陽は姿を見せず、庭の旺盛な植物たちは自身の周囲に影を作り、煉瓦塀がいつもより暗い。チェリーセージの濃いピンク色が、いちだんと濃い緑色の茂みに浮き上がりながら、灯されたランプのように揺れている。庭の隅に迷い込み葉と擦れ合った風は、私を自意識の沼へと案内する。

2014年05月15日 木曜日




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